前日の疲れを引きずりつつ憂鬱な気分に飲み込まれないように、少し神経質になっていたのだ。
この部屋のクーラーが、仕事を拒否していることに軽い苛立ちを覚えながら、上着を脱ぎ、ジワリと滲んだ汗を拭った。
スイッチのONとOFFを数回繰り返し、軽く肩を竦め、黙って窓を開けた。
毎日、飽きもせず繰り返すこんなことが、最近の日課になってしまっている。
私は数年前から路地裏ともいえる街の外れに、探偵事務所の看板を掲げている。
事務所といっても、私のデスクが一つ、その上に古びた電話、来客用のテーブル、草臥れたソファーがあるだけだ。
辛うじて事務所の体裁を保っている程度のものだが、名刺には太い文字で「私立探偵事務所」と刷り込んでいる。
ここ数日の来客といえば、地域情報サイトの勧誘が数件あったくらいで、仕事の依頼などもう一月以上無いのだ。
デスクに足を投げ出し、ギシギシ音を立てる安椅子に掛けた私は、前回のビルドを想い返していた。
お座なりなコイルで組み上げたCTHULHU SHURIKENは、私を喜ばせることは無かったのだ。
溜めた息を軽く吐き出した私は、親指の腹で額の汗を拭った。
ドリップチップに口をつけ、確かめるように吸い込んでみた。
ミストは何とも頼りないもので、「不味いな」と呟き、電話の横に置いたCTHULHU SHURIKENをじっと見つめた。
3つ並んだ円いエアフローの穴から、Eリキッドが滲み出てることに気付いたときには、私の手に漏れたEリキッドがべっとりと付着していた。
シングルビルドで組んだおかげで、傾けると片方のジュースウエルに溜まったEリキッドが、エアフローから漏れ出すのだ。
カンタル26ゲージ、コア3mm、10巻きのマイクロコイルをデュアルにして組み直した。
手の甲にも汗が滲み出ていたが、気にはしなかった。
いつものように根拠らしいものは何もなく、思いつきにまかせてのビルドだ。
18WにしたAspire NX75でCTHULHU SHURIKENに火をいれ、ミストを吐き出してみた。
「・・・悪くはないな」低く呟いた私は、立ち上がり軽く伸びをした。
「やはり、デュアルか?」呟いてみたが、こればかりは自分で試すしかないのだ。
壁のスイッチに目をやりながら、「そろそろ電気も来なくなるな」と呟いて、顔中の汗を拭った。
次にミストを吐き出したときに、電話が鳴った。
口元だけで笑った私は、できるだけゆっくりとした動作で、受話器に手を伸ばした。
本日登場したもの
今回は、もう書かないな、前の投稿をみてくれ。
次回に会おう、会えればだがな。 何を騒いでる?見っとも無いぜ。一服やりなよ。
悪かった、もうこんな書き方は、これが最後だ。
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こんばんは。
返信削除今回はハードボイルド風ですね。
何気にコイルとかキレイに巻いてるし!(笑)
先を越されてくやしーーーー
のぶのぶ様
削除こんばんは!
私、ハードボイルドしか読まないもので、すみません。
コイルは2万個のゴミを産み出したうちの上手くいった2個です。
もう、ワイヤーがほぼ無くなりそうです。
アレを美味しく吸う方法のアップを楽しみにしております。